第6回未来塾講義録

講義名
第6回信州おもてなし未来塾(高野塾)
講議日時
平成27年1月26日(月)13:00〜16:00
場所
松本合同庁舎 203号会議室

講義内容

『地域ぐるみのおもてなし』~いまリーダーに求められるもの~

第6回「信州おもてなし未来塾」の写真

講義
塾長 高野 登氏
講演
ゲストスピーカー 清水愼一氏 立教大学観光学部兼任講師
観光地域づくりプラットフォーム推進機構会長
『地域ぐるみのおもてなし』

 

1 講義

【1】高野塾長

『”共創”の原点、コミュニケーション、相互理解』

・〝競争〟という言葉があるが、地域同士、会社同士、個人同士の競争という様に使われる。今この競争の原理から、地方や地域社会は〝共創〟に変えなければいけない。「共に創りあげる」という”共創”の精神が、これからどの地域でも最も必要なものになってくる。全く違う地域の人たちが同じ方向を見て、共に地域づくりをする”共創”の精神の中でコミュニケーションが大切となる。

・コミュニケーションの中から生まれてくるのが、相互理解であり支え合う精神。これは一方的に相手に対して寄りかかる”依存”ではなく、”相互依存”である。自分の持っている良いものや知識や知恵を出し合うことによって相互に依存しながら、社会、会社、地域を創っていき、その共創の精神から生まれるコミュニケーションが相互理解を生み出していく。

・このおもてなし未来塾の受講生の目指すところは、自分の地域や会社が元気になっていくための、地域間・会社の中での接着剤・蝶番になること。

・物事を考えるときの大事な3つの目。

1)俯瞰的に上から全体を見る”鳥の目”の視点。
2)時代の流れを読み、今一番必要としているものは何かという流れを読む”魚の目”。
3)目の前の事で最も集中しなければいけない事は何かを捉えていく”虫の目”。

“鳥の目”、”魚の目”、”虫の目”を持ちながら、自分たちの組織や地域を見ていくと色々な可能性が見えてきて、それを自分がどういう風に日々実践しているのかということがポイントである。

『自分ごととして受け止める、諦めないコミュニケーション』

・相互理解を進めていく時に大事なものは、自分たちがやっているということを認識し、相手のことを理解しようとする精神である。良い事をやっている人同士がお互いを受け入れられない、受け入れようとしないのは、お互いがその違いに目を向け、受け入れる度量を鍛える習慣がなかったためである。

・自分が言ったことを、まわりの人たちが直ぐに理解してくれるわけではなく、諦めずにコミュニケーションを取り続ける”粘り腰”が必要である。相互理解は相互理解ができるまであきらめない。

『地域社会におけるおもてなし』

・地域社会においても、長い間繋がれてきたものを、次の世代、その次の世代へと繋げていかなければいけない責任がある。その時の一つのキーワードが「何を以って為すか」という〝おもてなし〟であり、自分の持っている知恵と知識の中で、自分が何を為す事ができるのかである。

 

2 講演

【2】清水愼一氏

『地域人としての活動・発信、”したたかなコミュニケーション”』

・人は生きがいや幸せを求め、それぞれの暮らしを持つ”個人”であると同時に、企業・役所などの組織に属している”組織人”である。また、人それぞれが自分の地域を持つ”地域人”でもある。我々にはこの三つの側面がある。”個人”として、家族を含め幸せで充実した生きがいのある人生を送りたい。と考えるのと同時に、”企業人”として、単に稼ぐための場所ではなく、人間関係も作りながら楽しく充実した生きがいのある人生を送りたい。この二つは常に考えているが、”地域人”として、その地域の住民として地域のことをどのくらい考えるかが問題である。

・”地域人”としての活動・発信を、おもてなし未来塾の受講生に求めている。この塾を通して、最終的には自分が何をするかということをきちんと確信することが大切である。”組織人”としても会社などの組織の中で、あるべき姿に向かって発信・活動しなければならないが、”地域人”として発信・活動する時には、さらに色々な考え方があるから、この時に、人間力を蓄えなければいけない。〝したたかに〟が必要である。めげずに、笑顔で断るなど、様々である。

・”したたかに”というのはコミュニケーションである。問題が起こる原因は、全てコミュニケーション不足。したがって、地域の問題も、企業の問題もこのコミュニケーションの向上で解決できることが多く、あらゆる原点がコミュニケーションにある。

・大多数の人とネットワークを持ち、個人が、横との連携をとる事で、したたかになっていく。信州の中で横の連携をとるだけではなく、さらに外と繋がっていく。

『サービスとおもてなし』

・おもてなしは、無償の行為・自発的な行為・対価を求めない行為であり、高野先生の言う、「相手の心に自分の心を寄り添える」ことである。問題となるのは”ふるまい”"よそおい”"しつらい”を含めて実践できるかどうか。

・観光は、観光客がいて、旅館ホテル事業者がいて、地域がある。事業者と観光客は、多くの部分で対価を求めるサービスの関係であるが、事業者と地域との関係は対価を求めない。

・今、問われているのは観光客と事業者の間の”おもてなし”であるが、観光とは、心地よくお金を支払わせる商売であるため、きわめて情緒的な世界で動いている。したがって、おもてなし次第で観光はいかようにもなる。

『”企業人”としてのサービスとおもてなし、”地域人”としての観光客』

・”企業人”として観光客と向きあうだけでは上手くいかなくなってきており、農家や商店街を含めて、観光についての議論をしていかなければならない。地域と一緒におもてなしを推進しようとしても、地域の住民の理解がなくては、本当の意味で観光は成り立たない。今のお客様は、古いものを見た後に、商店街を歩きながら飲食をしたいと考えている。

・企業と地域住民がお互いに理解するためには、コミュニケーションを取るしか方法はない。

・サービスとおもてなしというのは違う。企業対価を求めてサービスをやるといっても、時には臨機応変のお客様第一の対応をしなければならないこともある。この時に、”企業人”として或いは”地域人”としてどうするかという問題があるが、したたかさを持ち、諦めずに意見を聞き、ノウハウを蓄積していくことが必要である。

 

3 グループディスカッション・発表

「清水愼一氏の講演の感想・したたかなコミュニケーションについて」

(Aグループ)

塾生①:
すぐに結論がでる問題ではないが、それぞれ色々な地域から来て文化が違ったり、色々な考え方があったりするので、そういう人たちと、根気よく知恵を出し合いながら話し合うことが大事ではないか。

(Bグループ)

塾生②:
同じ市町村に住んでいるのに、それぞれがバラバラだという話が出た。同じ地域でもかなりコミュニケーションが取れておらず、企業人としても連携が取れていないと感じた。私たちは、行政・民間・地域と、もっともっと雑談から始めたほうがよいのではと感じた。
高野塾長:
雑談することはエネルギーがいるが、大事なことである。

(Cグループ)

塾生③:
おもてなしとは、目の前のお客さまという意識が強かったがそうではなかった。お客様、事業者と地域住民との間も、寄り添うという部分について、会社では社員、そしてお客様も、地域住民の方もその人の立場があり、その立場を理解しようという心を、まず自分自身が育ててから耳を傾けていくというのは、すごく技術がいることだと思った。自分がまずこの長野を、諏訪を元気にしたいという強い情熱を持つことからスタートするということを強く感じた。
高野塾長:
まず、自分から始めるということが大切。

(Fグループ)

塾生④:
お客様に対し、普段自分が先回りをしておもてなしをしようかなと思った時に躊躇してしまうことがある。受け取る側のことを考えるとちょっとできない自分がいてその辺りが難しい。
高野塾長:
加減はやるところまでやってみないと分からない。失敗してもいいからやるところまでとりあえずやってみるという考え方もあり、案外その後で分かることもある。

(Eグループ)

塾生⑤:
地域の方と繋がることで、地域の人たちも自分たちが日常的にやっていることを、外からの声を聞くことで誇りに思えたり、やってよかったなと思ったり元気になったり小遣い稼ぎになったり。繋がるだけで深みが出せるというところが、清水先生のお話を聞いてもっと深めていきたいなと実感したところだった。

(Dグループ)

塾生⑥:
コミュニケーション不足があると、活動している人もいれば、そうでない人もいて、関係者は盛り上がっているけれども、関係者ではない方は盛り上がっていなかったりする。その辺りの答えを見つけるのが難しい。

 

3 まとめ

『すべてを自分ゴトとして捉える』

・他人事ではなく、起きていることは全て自分と直結していると捉えるということが大事である。信州人はもっと面白がるという感性を持ってもよいのではないか。余裕をもって物事を捉えるということも必要であり、おもてなしというのはそうしたゆるい部分もないとできない。

『コミュニケーションから生まれる自立と自律』

・地域住民として、事業者として、自立する人間、しかも己を律する人間になってほしいと考える。結局はどうやって律するかであり、いわばコミュニケーションの基本。

・自分自身の自立と自律は、コミュニティそのものの自立と自律につながっていく。

『人脈づくりの大切さ』

・自分が持っている人脈は、良い意味で自分の体の中に、必要なものを脈々と届けてくれる人脈になっているか。あらゆる関係性の中で人が出会い、そこから、それを一つのきっかけとして、自分が新しく価値を作り出す。そういうふうに捉えていくのがコミュニケーションの基本。

・この人は自分の人脈であると言い切った瞬間に人脈になり、遠慮をせず相談するべきである。人生は人と人が脈々と繋がり、そこから色々なものが生み出されて自分の人生を全うしていくと考えないと、人生は広がらない。自分が持っているポテンシャリティを最大限に活かすなら、脈々と自分の人脈をつなげていくということも大事なのではないか。

『気づいた人が動き、行動する、リーダーシップ』

・良いことをやっている個人がたくさんいたとしても、点と点で動いていて線になっていない、面になっていない現状がある。すぐに繋がることができるわけではないが、一緒にやれば、もっと力が結集されて、さらに良いことが出来るということを誰が語り続けるかといえば、それに気が付いた人であり、方法はそれしかない。

・自分の組織など身近なところで、意外とコミュニケーションが取れていないことがあるが、誰からそれをスタートさせるかというと、気が付いた人からやるしかない。気が付いた人は、他の人は気が付いていないため、人より苦労する。人より苦労して成長していく。これをリーダーシップと言う。リーダーとは自分から一歩踏み出していく人のこと。リードしていくということを、自分の中に常に持っている人。そしてそれを今度は現場で活かし続けていく中で、やっぱりあなたに任せたいと言われる人がリーダーである。

・そういう存在に自分がなるということを、最初に決める。

『地域住民としての意識』

・その地域に生きる者としての意識とはまさしく、そこで何を以って何を為すか。という、もてなしである。何を以って何を為すためにいるのかを原点に戻って考えて、何を以って何を為すかということを腹をくくって決める、つまりコミットするということである。自分の働き方と自分の人生は自分で企てる。誰でもなく自分で企てる。