第4回未来塾講義録

講義名
第4回信州おもてなし未来塾(高野塾)
講議日時
平成26年9月16日(火)13:00〜16:00
場所
松本市 長野県合同庁舎 203号会議室
参加者
【塾 長】高野登氏
【アドバイザー】福島規子氏

講義内容

顧客の気持ちを推察した配慮行動とその進化の手法[4]

第4回「信州おもてなし未来塾」の写真

講義【1】内容
高野 登塾長 講義
講義【2】内容
九州国際大学関係学部 教授/観光学博士
オフィスヴァルト サービスコンサルタント 福島 規子氏
講義『言葉が紡ぎだす、心のつながり 〜心をつかむ対話〜』
グループ討議・発表
『信州で提供できる可視化、見える化されたおもてなしサービス』

 

1 講義

【1】高野塾長

『言葉はなぜ大事か』

言葉をどう使うか

◆「人生の長さは変えられないが幅は変えられる」

・『ミライロ』垣内俊哉氏当時20歳との出会いの時の言葉である。

・どういう人生を送るか、どういう幅で生きるかは無限大に変えられる。

・障害者はいない。世の中の仕組みこそが彼らにとっての障害である。

◆言葉には力がある

・言葉の使い方で人との心のつながり方が変わってくる。

・人間って素晴らしいと思える言葉、ワクワクさせるような言葉を自分の中に多く蓄え、家族、仲間にかけていく。

・言葉は自分の中にある思いから生まれ、自分が使う言葉から自分の行動が生まれる。

 日々の行動が習慣となり人格が形成され、周りの人に伝えていく。

◆当たり前のレベルを上げる

・昨日まで背伸びをしたことしか、今日の当たり前にならない。

・成長とは当たり前のレベルを上げていく事である。その延長線上に長野のおもてなしを根底から支える底力が生まれる。

言葉を誰が伝えるのか

・誰が伝えるのかで伝わり方が全然違ってくる。

・山梨では「おもてなしおしぼりタクシー」を実施。
外部の人間から言われてやらされるのではなく、内部の人間からそういう気持ちが起き上がってきた。

・誰が言うのかによって行動として生まれるかどうかが決まる。

【2】福島 規子氏

『言葉が紡ぎだす、心のつながり 〜心をつかむ対話〜 』

サービスとホスピタリティ

◆サービスとは何か

・一方的・垂直的な関係・縦の関係
・無形であるが、お金を払って等価交換されるものである。
・サービスの語源は「サーバント」つまり「奴隷」である。
・お客様(主人)の望むようにする、顧客第一主義である。
         変化

・顧客にサービス提供者が仕えるおもてなしから心温まるゲストの様なおもてなしへ
・親戚のようなゲストとホストの様なおもてなし。

◆ホスピタリティとは

・双方向的・水平性・相互関係性・横の関係

・ゲスト(もてなされる人)とホスト(もてなす人)が入れ替わる事がある。

・好意の返報性… 人は他人から何らかの施しを受けた場合に、同質・同程度のものをお返ししなければならないという社会的規範を持っている。

◆ゲストとホストの関係性
・グリーンツーリズムではゲストとホストが同じ釜の飯を食べ、肩を組んで歌を歌う
・旅館ではお客様とサービス提供者が一緒にご飯を食べることはない。
・サービスとホスピタリティではゲストとホストの関係性が違う。

サービスに満足させる方法

・物によって満足 ⇒ 物的サービス ⇒ 『高品質』・『安心・安全』・『清潔』

・人は人の行為によって満足する ⇒ 人的サービス ⇒ 生産と同時に消費

・悪いサービスは数えられる(記憶に残る)が良いサービスは数えられない。(記憶に残らない)

・何となく良い、分かりやすいサービス。

・ストレスフリーな状態を作り、心地良い時間とおもてなしを提供する。

 サービスを可視化、見える化する事が大事。

苦情(クレーム)を出さないためには

・コンプレイン(不満)を抱かせない。
・正しくサービスを生産し、正しく消費してもらう。

サービスの特性 

(1) 非貯蔵性… とっておいて、他の人に使うという事ができない。
(2) 同時性 … サービスは生産と同時に消費される。
(3) 消滅性 … 消えてなくなる。
(4) 無形性 … 形がない。
(5) 異質性 … 人によって評価、捉え方が違う。

お客様へのサービスの仕方(4階層分類)

・ハーズバーグ(アメリカ合衆国の臨床心理学者)、マズロー(アメリカの心理学者)のように段階により分けることが出来る。

衛生要因 あって当たり前、無いと選択しない。    
動機要因 あると嬉しい、無くても選択する。    
第一段階   言われたらする…言語的非共感的サービス お客様の行動を推察しない
非共感性サービス
第二段階   動作を見てする…非言語的社会性サービス
第三段階   タイミングを計る…直観的共感性サービス お客様の行動を推察しない
共感性サービス
第四段階   状況から判断する…文脈的共感性サービス

ホスピタリティについて

◆向社会的行動

・向社会的行動の条件… (1)外発的報酬を求めない(内発的報酬は求める。感謝・自己満足)
(2)コストをかける(自分の時間、お金)
(3)自発的に行う

向社会的行動 相手のことを思ってする行動

■困っている人に対して実行 … 援助行動 思いやり
■困ってない人に対して実行(感情を肯定的に導く、喜ばせる) … 配慮行動 気配り
・配慮行動がホスピタリティのサービスの根幹にある。

◇暗黙知
・経験や勘に基づく、言葉では語れない知識(体で覚える)
・配慮行動の中に暗黙知が埋め込まれている。

◇サービスの商品化

第1段階   暗黙知を自発的にお客様に行動として提供 ⇒配慮行動を伴うサービス
第2段階   配慮行動を伴うサービスの他者(組織)による模倣
    ⇒形式知化 、集団内でルール化、マニュアル化される
    ⇒標準化されたサービスとなる。
     みんなが同じサービス
   
※形式知… 文章や図表、数式などによって説明・表現できる知識のこと。明示的知識。暗黙知の対概念。
第3段階   標準化されたサービス
    ⇒配慮行動が付加される⇒新しい配慮行動を伴うサービス
    ⇒標準化されたサービス(進化)
     新しいサービスが誕生

サービスが次々と進化していく ⇒ ハイコンテクストサービス

◆ハイコンテクストサービス 文脈を読んで提供されるサービス
(顧客の背景、状況を理解・把握した上でのサービス)
コストが掛かる
 ハイコンテクストサービスには軸があり、配慮行動を付加することにより進化する
◆規格型サービス マニュアルだけで形成されるサービス(マクドナルド)
 ハイコンテクストサービスをある段階から切り、分岐したものが規格型サービス。

◇日本のおもてなし

◆日本人特有の感性

・相手の気持ちを推察した配慮行動 汚れた器を目に触れない所に
・顧客行動を予測した配慮行動 おかわり用に新しいしゃもじを用意
・日本人の信心、信仰に基づく配慮行動 箸帯を切らない
・日本の作法に基づく配慮行動 おかわりは一口残し、縦長は横に持つ、正目は平行に、箸は横にして割る。
・何もしない事をする 察する力・推察力・相手がしてほしいことを考える想像力。
『客に聞くな。客を見よ。』

◇ディスカッションのテーマ『信州のおもてなしコンセプト』について

◆(1)ふるまい (2)よそおい (3)しつらい 三要素の中で1つを選択

◆気配り(サービス)の可視化、見える化

・商品(気配り、サービス)の価値を分かりやすく、見える化し、誰もができる標準化サービスへ変える。

◆信州で提供できるおもてなしサービスの可視化、見える化。具体的に1つをディスカッション

 

2 グループ討論・発表

チーム【A】

カテゴリー 『ふるまい』

・信州ふるまい条例を制定し、違反の場合は罰金を科す。
(1)乾杯の時のお酒、おつまみは県内産で
(2)そばを上品に食べる
(3)りんごの品種、時期を答える
(4)山の名前を答える
(5)人を助ける
(6)ネガティブワードをポジティブワードに変えて返す

チーム【B】

カテゴリー 『ふるまい』 テーマ「見送り」

・寸劇でお見送りを表現。
・あいさつ、気遣いの言葉に必ず名前を添える。
・またのお越しをお待ちしている事、大切に思う気持ち等、メッセージを添える。
・姿が見えなくなるまで(所作)、感謝の気持ちを持ってお見送りし、気持ちよく帰っていただく。

チーム【C】

カテゴリー 『ふるまい』

・挨拶、接客、職場内のコミュニケーション、地図に関して話し合いを行った。
・お客様や職場のスタッフと挨拶をする際には目と目を合わせるということを意識する。

チーム【D】

カテゴリー 『ふるまい』 テーマ「お出迎え」

・挨拶にプラスα、名前や天気、喜んでいただける何かを一言付け加える。
    ⇓進化
・長野県の特性を味わい、体験していただく。
 地域の服装・地元の言葉でお出迎え『あんじゃーね?』…大丈夫ですか?
    ⇓
・お客様との間に会話が生まれ、関係が築かれる。

チーム【E】

カテゴリー 『ふるまい』

・おもてなしの大事な部分について
 (1)第一印象では笑顔、声の大きさ、明るさ。
 (2)気配り、言葉づかい。
 (3)方言や一発芸でお客様に笑顔を与える。

チーム【F】

カテゴリー 『ふるまい』 

・スタッフ同士で正しく、丁寧な挨拶、言葉づかいでコミュニケーションを取り、良い所を褒め合う。

・お客様の目を見て元気に、笑顔で正しく丁寧な挨拶をする。

・分離礼の見本…オーバーに。「いらっしゃいませ」という心を伝えてから挨拶をするとその心が一層お客様に印象深くなる。

 

3 まとめ

【福島氏】

・「話しかけて下さい」オーラを出す = 可視化
パーソナルスペース…前に長く(腕1本分)、後ろに短い、横はゼロ
相手と向きあう位置を変えるだけで、相手はその人の話が聞きたくなる。(心を開く、自己開示)

『配慮行動やおもてなしの心は、行為の中に埋め込まれている』

【高野塾長】

・自分の行動の中のハイコンテクストを考え、今日気付いた事を実際に行動に落とし込んでいく。