第1回未来塾講義録

講義名
第1回信州おもてなし未来塾(高野塾)
講議日時
平成26年5月26日(月)13:00~16:00
場所
長野県庁 講堂
参加者
【塾 長】高野 登氏
【受講者】38名

講義内容

第1回「信州おもてなし未来塾」

第1回「信州おもてなし未来塾」の写真

  • 塾長講義「ホスピタリティの心~人間力の原点~」
  • 自己紹介 45秒ルール
  • グループディスカッション・発表

1 開会

信州おもてなし未来塾開催宣言

       

2 観光部長挨拶

観光振興基本計画を作成し、観光立県にしたいという目標を掲げている。その重要な柱がおもてなしである。

昨年度はおもてなし大賞を選考し、長野県内の素晴らしい取り組みを紹介した。本日スタートする信州おもてなし未来塾で、お互いに勉強、切磋琢磨し、地域、企業、団体におもてなしの輪が広がる、そんな未来塾にしていきたいと思う。

3 講義

気遣いとは、人に気を遣わせない事である

時間を意識する

45秒自己紹介を二人一組で実践。(45秒を意識)
日々意識して時間を使っているかどうかで全く違った景色が見えてくる。

おもてなし未来塾を1年間かけて行う

1年間の中でプログラムを組み、皆さんがおもてなしの匠(ホスピタリティマスター)になる。

どこででもサービス、ホスピタリティ、おもてなしの実践の話ができるようになる。そして、今見ているおもてなしの景色とは全く違ったものになる。そのためには基礎体力作りをし、正しい形でプログラムを進めていかなければならない。

人間力の原点

人間力、その原点は「自分が見ている自分」、「自分が捉えている自分」である。(セルフイメージ)

ホスピタリティとは おもてなしとは

ホスピタリティ(西洋生まれ) : おもてなし(日本生まれ)

ホスピタリティも、おもてなしも、相手の気持ちの寄り添い相手のことを考える。表現、国、文化、背景の違いである。

日本のおもてなしは日本で生まれた文化であり、『おもてなし』とは相手に言葉で伝えるものではなく、その人が何を大事にして生きているか、その姿勢、生き方そのものである。

自分なりの『おもてなし』を理解し、考えていく。

以て為す

聖徳太子十七条憲法の「和を以て尊しとなす」。日本人の一番大事にしている生き方の感性であり、以て為す、「もてなす」の原点である。

「以て為す」何を為すのか、それは人を幸せにすることである。そこには必ず、幸せに結びつくものがある。それが「ホスピタリティ」と「おもてなし」の共通項である。「誰かの為に…」の日本人の精神の強い部分が、おもてなしの中に全部入っている。

リッツカールトンの共通の概念は、「人との出会いに感謝することを以て、その人の心にワクワクしたものを届けることを為す」ことである。

簡単そうに聞こえるが、なかなかできない。なぜならば、おもてなしを伝える為の、相手の心に寄り添うための筋トレをやっていないからである。

心の筋トレをする

おもてなし、ホスピタリティで日本一を目指すためにはそれに見合った運動量が必要であり、心と感性の筋トレを、1年間のプログラムの中でやっていく。

感性と心の筋トレで重要なものは何か?

自ら考え、それを行動に落とし込んでいく、その方法を考えていくこと。知識を自分のものにし、そこから、智恵を掴み取り行動に落とし込む力をつけていくことである。その為の筋トレである。

観光地において相手から言われて答えることと、言われる前に手を差し伸べるのとでは印象は全く違ったものになる。

例えば「おはようございます」をいつもより、気持ちの良い声で、10回多く言う。これを地域全員でやる。そういう発想を持ち、皆で意識改革をしていく。

今日ここにいる約40名の仲間でアイデア、活動内容を共有し、協力し合い、そしてまた仲間が増えていく。

長野県のこと、おもてなしのことを純粋に考えている40名、一人一人が、「何を以て為す」ことができるのか、1年間の中で自分なりの目標を決める。

2年経った時にセルフイメージに違いがあるのか。どういう考え方が身に付き、プレゼン力は増えているだろうか。毎回グループディスカッションし、全員が発表する機会を作りたいと思う。

心の蓋を取る

実は、全員自分の思いの中に各々違う答えを持っており、意識の有無にかかわらず、蓋をしてしまっている。

蓋を開けてみると志、自分のなりたい姿、ビジョンが見えてくる。

長野県の県民性は、「謙虚すぎる」、「表に出さない」と言われるが、長野の底力、移住したい県No1の魅力、地域愛を意識して欲しい。

信州人のとっつきにくいネガティブなイメージを、謙虚さを生かして自分の思いの蓋を取って表現する。おもてなし、ホスピタリティといった小さな概念ではなく、自分の本質、志と向き合う、生き様そのものになっていく。

ホスピタリティとは修身(しゅうしん)である

自分が自分の身を修めることなくして、人の気持ちに寄り添うことはできない。自分の気持ちを整え、自身の軸を作っていく。

昔の日本は、地域の中で大人が子ども達に修身の時間を与えていた、態度で教えていた。人と向き合って会話ができるよう、地域にアンテナをはり、興味を持つように。それなくして何がおもてなしだろうか。

島根県隠岐の海士町で、外から来た子ども達と島の人達が交流を持つ方法は何かと考え、便利さをなくすことを考えた。

自動販売機を撤去し、必ずお店に行き、島の人達と言葉を交わし、物を買う。自動販売機がコミュニケーションの邪魔をしていた。いつでも手に入る発想をなくすことで、生活のリズムを作り、段取り力を身に着ける。これが子ども達におもてなしの気持ちを強く伝える方法になる。

長野県のためのおもてなしを考える原点とはどこなのか。満たすこと、便利なことが大事なのか。満たされていない、便利さがないところでは、人はお互い助け合い、工夫していかないといけない。そういう部分をイメージするとおもてなしに対する自分の立ち位置が違ってくる。 

ヨーロッパのお話で、おじいさんが1週間休みなく飛び続ける野生の鴨に餌を与えた。するとある日、山の上で大洪水が起き濁流が湖に流れ込んだ。他の鳥はすぐに飛び立ったが、その鴨たちは飛び立つことができず、半分くらいが濁流に呑まれてしまった。そしておじいさんが亡くなると、みんな死んでしまった。

企業の中でもそうである。最初の熱い思いや、パワーが慣れてきて、便利なものに毒されていき、新しいプロジェクトなんて面倒くさいという状況になってしまう可能性もある。そういう部分が人間の中には常にあるということを意識することが、修身に結びついていく。

自分の中の大切にしなくてはいけない力とは何なのかを考える習慣をつけていくこと。

「あの」のつく人になる

おもてなしにつながっていく物が1つある。

「あの」会社のものが、「あの」人が売っている物が売れる。私も同じように売っているのに誰も買ってくれない。なぜならば「あなた」から買う理由がないからである。

キーワードはホスピタリティの中で常に使う言葉、「あの」のつく人、会社になることである。来年の2月までに皆さんは「あの」のつく人になる。組織、会社、チームの中で自分のやるべきことが何かを考えていくことを伝えていく。「あの」人から話を聞きたいになっている。

自分の修身の軸を意識し、鍛えることでホスピタリティマスター、おもてなしの匠になる。

今日はそのことを考える時間にしていく。

「サービス」と「ホスピタリティ」

サービスは提供している側が決める。ホテルが、自治体が、携帯電話会社が、医療現場が、サービス内容を決める。サービスとは提供する内容を約束する。約束を守ることで対価を得る。これがサービスの特徴である。全部知識として明確であり、例外がない。

ホスピタリティは提供している側が何も決めることができない。提供された側がどう感じたかですべてが決まる。受け手が煩わしいと捉えるのか、嬉しい、すごい、普通、と捉えるのか。ホスピタリティとは相手を見極め、相手の立場で考える感性、心のエンジンを鍛える筋トレが必要である。サービスはマニュアルで全部身に着けることができる。サービスを提供する時の皆の基礎体力を揃えるためにマニュアルは大切である。ホスピタリティは知識を受け手に合わせ、感性に入って、提供の仕方を考えることが、智恵をつかむということである。サービスとは相手の立場、感性に立ってすべてを考えるところに大きな違いをうける。ホスピタリティは智恵、サービスは知識、約束である。ホスピタリティは相手の立場、感性、どう受け取ったかで、すべてが決まる。なかなか届かないこともある。そのために重要なことが2つある。

2つめは相手の感性に近づいていくことのできるコミュニケーションを取ること。

2つめはコミュニケーションを取る角度を変えること。

目の付け所で目の前の景色が変わっていく。違った価値観、違った角度から物事を見る。社会の認識や自分の価値観でサービスを提供することが多い中、少しだけ柔らかい発想を持ってくるだけで、ホスピタリティ、おもてなしの世界は一気に広がり、違ったものが見えてくる。ホスピタリティ、おもてなしとサービスとは基本的なところで違うということを実感できると思う。

組織のトップがスタッフにできる最高のおもてなしとは何かを考えると、働き甲斐、生き甲斐を感じて仕事をしてもらうこと。ここにいて良かった、ここでお客様に喜んでもらえる仕事ができて良かった。感謝され、認められ、自分の価値を実感でき、幸せ感が生まれる。これがホスピタリティの原点である。自分が幸せな思いを受け取っていると、人に対して優しくなれる。

だからこそホスピタリティは、社会の中、会社の中、家庭の中でも大切である。

グループディスカッション

①セルフイメージ

セルフイメージとは自分が自分をどう見ているのか、評価しているのか。またはなかなか伝えることのできない自分。その蓋を取った時に見えてくる自分と、なりたい自分の立ち位置とのギャップ。セルフイメージを高める、どれだけ誇り、喜びが持てるかということは自分自身に対する最高のホスピタリティである。1年間かけ、長野県のおもてなしの礎を作り、塾生の皆さん自身のセルフイメージを考えていきたい。

②夢について

夢とは目標になる前の段階であり、夢から見えてくるものが目標である。夢を目標にするには、期限をつけ、逃避せず目標化する力をつける。

グループごとの発表

グループごとに発表し、2分でまとめるトレーニング。

テーマは考えること

今回はわざと入っていきにくいテーマ、セルフイメージにした。切り口のポイントが多いほど考えていかないといけない。

考えることが1年間の大きなテーマになる。

考えていく材料

①長野県の満足度調査について

1回目の満足度は高いが、2回目、3回目とだんだんと低くなっている。

1回目は客を集める、2回目からは集まってこないといけないが、集まってこない。

「あの」気持ちの良い人たちの「あの」おばちゃんの、「あの」お葉漬けの、「あの」時の会話の…が起きていない。

これをどうやって起こすかをみんなで考えて行く。

②言葉について「どうせ」

北陸、東北、長野の雪国は内向きな言葉の使い方が多い。絶対に使ってはいけない「どうせ」という言葉が長野県の会話の中でたくさん出てくる。この言葉を言った途端に自分の思考回路を全部停止させてしまう。

マイナスイメージ、ネガティブイメージをプラスに変えていく言葉がある。「遅い」を「思慮深い」に、信州は「後ろ向き」、「ネガティブ」でなく、「謙虚さからくる信州人らしいしぐさ」というように変えていく、習慣化していく。人見知りはすべてがネガティブなのか、誰とでも話ができる人が、本当に苦しんでいる人の気持ちをくみ取るだけの力があるのか。人見知りの人の方が人の優しさに敏感だったりすることもある。明るい人の方が人の悲しさに鈍感だったりすることもある。

言葉を変えると行動が変わり、それが習慣化し、その人の行動は人生を作る。会社であれば「社風」を創る。人は社風通りの働き方、自分は自分が起こす「社風」通りの生き方をしていく。自分が流す風を意識するとおもてなしはシンプルになる。ちょっとした行動の考え方、相手に対する自分の気持ちの持っていき方である。

「こうなったらいいよね」。と皆さんで日常的に話していき、どうでもいいと流せなくなっていく、長野県がよくなっていく、自分の思いを伝えたくなる。

結果が出る会社と出ない会社、自分は一生懸命やっているのに人はわかってくれない。それは伝え方が間違っている可能性がある。

セルフイメージは二つの面があり、一つは自分自身をどう見ているのか、二つめは自分が目指すイメージを自分がプロデュースする。セルフプロデュース、イメージプロデュースである。

おもてなし、ホスピタリティの世界ではどんな思いがあっても相手に伝わらなければ「ゼロ」、なかったのと一緒である。困った時に助けてもらった、地獄に仏、それがその地域の評価を高めていく。2回、3回行きたい。

満足度がどんどん上がっていく。本来あるべき姿にするために必要なものこそ『おもてなし』である。

地域を変えることはできないが、住んでいる人が良い方向に変わることはできる。気付いたら日本一、4年で日本一になる。日本一は単なる通過点、単なる手段であり、「長野県で生きること」、「日本一幸せになること」が目的である。100年200年計画である。長野県の人が長野県の良さを実感し、伝え、次に来たらもっと良いところがあると普通に言える人間になる。そういう県になる。来年2月までに礎をつくる。

皆さんがさらに上のレベルにおもてなしを掲げる、飾れるようになっていくと周りの人達にも気づく人が出てきて、地域、会社のレベルが上がってくる。