第2回未来塾講義録

講義名
第2回信州おもてなし未来塾(第2期)
講議日時
平成27年6月19日(金)13:00〜16:00
場所
長野県松本合同庁舎203号会議室

講義内容

地域づくりのおもてなし

第1回「信州おもてなし未来塾」の写真

講義
塾長 高野 登氏
講演
清水 愼一氏「地域づくりのおもてなし」(立教大学観光学部兼任講師)

 

1 講義

高野塾長

 早いものであっという間に第2回。今日は清水先生に来ていただいた。「地域ぐるみのおもてなし」のお話しをしていただく。深い話、さまざまな角度から切り込んでいく話がたくさんある。今日は出来る限り清水先生にお話しいただく時間を取りたい。

 さて、本日の軸を決めなければならない。おもてなしに対しての自分たちの向き合い方の軸、「本気さ」ということを少し考えてみたい。
 実は昨日横須賀の自衛隊に行ってきた。海上自衛隊であるが、ここには訓練生を教育する機関がある。ずっとお世話になっている方がそこの司令をやっていて、彼から連絡をいただき「高野さん、面白いことがあるから来ない」と誘われた。朝5時起きして、横須賀まで行き、3時間ばかり海上自衛隊の訓練生対陸上自衛隊の訓練生の運動会を観てきた。種目はリレーと綱引きの2つだけで、1,800人が参加している。これが細かいグループになって予選をやり、また第2予選をやり、第3予選をやり・・・・・。リレーはタイムゆえ、たとえAチームの1位になったとしてもBグループの6位よりもタイムが悪かったら落ちてしまう。要するにタイムレース。そして残った人たちの決勝戦。さすが自衛隊の方々、鍛え方がハンパない。リレーは、観ていて予想どおりのチームが優勝した。面白かったのは綱引き。女性自衛官のチームが2つ入っていて、さすがに一つのチームは途中で負けてしまったが、もう一方の女性チームが決勝まで行ってしまった。ただ人数的に数名のハンディはある。片方はとてもマッチョな男性。そこに対する女性チーム。頑張って鍛えているとはいえ、男性チームとは比較にならないくらい。たった数名のハンディでよくこのチームが決勝まで残ったなあ・・・と思って観ていた。遠めに見ても、明らかにマッチョ軍団の方が勝つだろうと誰もが思っていた。ところが、女性チームが勝ってしまった!!どのくらいで勝負がついたか。それはたったの0.5秒。睨みあって綱を持ち、お互いに「はいよーい「パン」」といった瞬間に女性チームが勝ってしまった。どこからどうみても俺たち男が勝つだろうという男性チームは、間違いなく相手を見下しているもの。油断し、どこかに隙がある。その隙が0.5秒。綱を握った瞬間、女性チームは120%の力を出す準備ができていた。男性チームは綱を握ってから準備に入った。ここに大きな差が出た。だから女性チームはひとり1人全員があの瞬間に1.5という力を出せたのだ。引いた時のあの0.5秒で決まり、その後ズルズルと引いて10秒後にピストルは鳴ったがもう勝負は決まっていた。男性はみな引きずられ、唖然としていた。女性チームは勝つつもりでやっているから、その後ボロ泣きしていた。観ている我々も一瞬シーンとなったが、その後大歓声が上がった。歓声と彼らが泣いている姿を見て、こっちも泣いてしまった。その時に思った。「本気さ」ってこういうことなんだと。
 例えば会社に行って仕事をする。9時~17時という勤務で、会社によっては8時頃から行って草取りをしながら準備し、9時の段階で120%で仕事をスタートさせる会社がある。また、9時~17時勤務で、9時2分前に入ってお茶を飲んで新聞を広げ、9時半頃にやっと100%になるような会社もある。この場合、9時から9時半までの30分は本気じゃない。どういう働き方、どういう過ごし方が本気なのかということを考えていくと、9時~17時の仕事を任されているのであれば、9時の段階で100%になっていなくてはならない。100%を発揮し続けるということで一番大事なことは決断と行動。何を決断し、何を行動するか。また、本気でやった事は何だったかということを反省していくこと。その時に決断し、自分で行動を決めているのだから。
 皆さんの今日までの1カ月間の間に何ができているのか?自分の中で思い切り向き合っているものは何だったのか。1年経ったときに毎回毎回の本気さの積み重ねしかその人の血と肉になるものはない。私が皆さんの頭の中に入って行って、おもてなしはこうですよ、こういうことをやりましょう、こういうことをやったらどうですか?などとひとつひとつ言う事は無理。それぞれの職場環境があり、それぞれ皆さんが地域でやらなければならないこと、やれることが違う。だから自分なりの表現、自分なりの判断、自分なりの行動とは何だろうということを考える。その積み重ねしかない。
 清水先生のお話しを聞く前に、5分~7分くらい各テーブルで、この1カ月間の自分の振り返りで自分が本気になってやってみたことを話し合う。誰がファシリテーターになっても構わない。不思議なもので誰かがちゃんとファシリテーターになるものだ。

【グループディスカッション1】

「塾開始からこの1カ月間に自分が本気になってやってみたこと」

(塾生)

  市役所の商業観光課の観光係というところで働いている。4月1日から観光の仕事になり、何もわからないため、毎日毎日本気にならないとついて行かれない。
 この1カ月間に自分がやったことは、市の観光の中で特に外国人旅行者関係、インバウンドがうまくいっていないということで、市内の温泉施設2つのスタッフ、地域おこし隊の中国人スタッフとの4人で、「中国人の方を対象としてどういうサービスができるか」について、企画書A4サイズ1枚にまとめたこと。今後は秋までに何回か集まりながら勉強し、この先どんなメニューを提供して行かれるかなどを話し合っていく。

(高野塾長)

  本当は他のグループの方々にもお話しをお聞きしたいが、別の機会に。
 大型ポストイットを机の上に準備し、清水先生のお話しを聞きながら、チームの中でこれはキーワードだなと思うものはどんどん記入する。誰か1人が書くのではなくて、気がついた人が気がついた言葉を書いていく。同じ言葉が重なっても構わない。

 

 講演

清水愼一氏

「地域づくりのおもてなし」

 私は3年前から「清水塾」という塾をやっている。観光をkeyにした地域づくり、地域との関わり合いをどのようにやっていくのかを学び、リーダーとなる人を育てている。
 平成24年度から開始し、25年度に第1期生が24人卒業した。そして昨年の4月から第2期生が学んでいる。観光地域づくりなので、各地域の観光協会、行政の職員、宿泊施設業者、NPO法人などさまざまな業種の方々が学んでいる。
 私は、国鉄JR東日本、JTB、立教大学の教授ということで、ずっと地域づくり一筋でやってきた。この経験を踏まえながら、高野塾のテーマであるおもてなし・・地域づくりのおもてなしということでお話ししたいと思う。

○地域に本気で関わる

 皆さん方が置かれている立場は?皆さんは個人として存在し、そして家族がいる。生計を維持するために会社がある。あるいは職場がある。これだけで完結すると思ってる人もいると思うがこれだけでは完結しない。そこに「地域」がある。我々の立場は決して個人で完結するわけではない。私の塾がどういうことを一番の狙いとしているかと言えば、当然のこととして、個人、そして家族の幸せ、家族団欒・・・生計を立てるためにお金を稼がなくてはならないので、会社や職場においての活動を行う。一方で自分たちが住んでいる地域。我々はいろいろなことを考えながら常にこの3つをどうしようかなと考えている。家族、会社、職場というものは当然皆考えていること。しかし、地域にもしっかり関わろうと。住みやすい地域になるために頑張って欲しいと。何もしないのではなく、地域の問題に関わるということ。他人事ではなくて自分ごととして関わる。基本的には個人・家族、職場・会社には皆関わる。地域は関わらないでおこうと思えば、ずっと関わらないまま終わる人もいる。地域に関わりながら地域の人たちを少しその気にさせるような立場になる人材を清水塾は育成している。
 会社や職場は本業。よく言うことが、「本業が忙しくて地域に関わっていられない」というもの。しかしぜひ関わってもらいたいし、関わらないと大変なことになるということで、清水塾では毎回議論している。未来塾の皆さんは、そういったことを知っているから参加しているのだと思う。
 私は地域への関わりというものは、最終的に個人、家族、組織へ大きな影響が出ると思う。清水塾では本業が忙しくて塾ができないという者が出てくるが、本当に本業が忙しいために出来ないのかその都度問いかけている。
 個人として家族との関わりは大体皆本気で取り組んでいる。たまには逃げてしまう人もいるが。そういった人は大体離婚してしまう。
 本業(仕事)も本気でやっていると思う。大体本業である仕事に対して本気でないものは家族に対しても本気でない。
 では地域への関わりでの本気とは?間違いやすいのはやる気。やる気と本気は違う。仕事もそうだが、やる気がある人はたくさんいる。やる気でごまかしてしまう。地域というものはやる気ではますますダメ。地域はやる気で簡単にごまかせてしまう。

○本気で地域づくりをしている、大分県「由布院」

 大分県由布院。日本の有数の観光地でもあり、素晴らしい成果を挙げているところ。由布院の「玉の湯」。通常、旅館の値段は繁忙期と閑散期で料金設定が異なるが、ここは通年5万円、さらに客室稼働率はほぼ100%。由布院の観光協会長が、玉の湯の社長、桑野和泉氏でもある。観光協会では、常に観光客の入込数の表を持っているが、由布院の入り込みは1970年代からずっと右肩上がり。一方、長野県内。現在、どこの観光地もみな同じカーブを描き、1990年をピークとしてピーク時の3分の1に落ち込んでいる。それに伴い人口も旅館も減っている。由布院では、人口の若干の減少はあるものの、長野県に比べかなり緩やかなカーブを描き、微減。長野県と大違い。人口の維持は、働く場所があるからこそ。由布院は観光客の入込数も増加、人口は微減ではあるものの、働く場所は増えている。
 由布院はもともと何もないところ。1970年代に自衛隊の演習場にする話やサファリパーク設置の話が出た。しかし地元住民は反対し、何もないところではあるが、お客様がゆっくり過ごせる場所を作ろうとしてきた。由布院の観光協会は、入り込み数、人口、旅館の件数のデータを持ち、どうやって働く場所を作るかを考えてきた。長野県内でこうしたデータを持っている観光協会はごく少数。
 ありきたりなパンフレット配布、イベントをやっているだけでお客が来るわけがない。由布院はデータをチェックし、どこに問題があるのかを徹底的に話し合った。働く場所を確保するのに、商店街だけでなく農家も大事だと考え、由布院の旅館は周りの農家と仕入れ契約を結んだ。周りの農家がつぶれたら、働く場所がなくなり、活気がなくなる。周りの農家から新鮮な野菜や果物がもらえることでお客さまは喜ぶと考えて・・・。
 等々、観光協会が他に本業を持ちながら毎週毎週議論している。コロッケ屋のじゃがいもが地元産でないことが分かれば地元産のじゃがいもを使用してもらうよう、説得に行く。由布岳の麓に大分銀行の看板があり景観が崩れるとなれば、観光協会長が乗り込んで撤去依頼をして、あっという間に撤去された。
 由布院を支えてきた二人。中谷健太郎と溝口薫平という旅館の社長。この溝口薫平の娘が桑野和泉氏。JR時代二人に地域づくりについて教えを請うた時、溝口氏に「やる気があるのはわかった。ただ本気でやる気なのか」と問われたことが一番頭に残っている。

○「本気」とは

 本気とは最後までやり抜くこと。途中で逃げない。特に地域は逃げられたら困る。会社は逃げても良い。倒産、退社で話は終わる。例えば郊外型ショッピングモール。これが商店街を壊していった。そのショッピングモール、ぼんぼん立ったあと撤退が後を絶たない。これがやる気に騙される典型な事例。
 1970年から由布院が毎週行っている会合の議事録は全て残っている。それらを全て反芻しながらここまでつながっている。
 特に地域は本気で関わらないとできない。地域を動かすのは、本業を持っている一人ひとりなのだ。

○「地域ぐるみのおもてなし」を「誰」がやるのか

 手を振りましょう、挨拶しましょう。市長はじめ権力者がよく言う言葉。であるが結局は地域ぐるみのおもてなしを「誰」がやるのかが大切。その「誰」とは「個人」であって、家族を持ち、本業を持つ個人がやる。問題はその気になるか。
 観光事業者と観光客の関係間では簡単。事業者が無愛想でいれば、観光客に二度と来ないと思われ、儲からなくなってしまう。
 JR長野支社時代、次長として長野支社を日本一のサービスにしようと取り組んできた。「お客さん」を「お客様」と呼ぶことひとつで大変な時間がかかった。長野市長が市民をお客様としようとしたところで結局は無理。なぜなら、行政機関ゆえ、それによって何の影響もないから。JRは民間であるが実質独占であるため同様の問題を抱えている。
 地域住民と観光客の関係。これは難しい。直接の対価が無いため。地域ぐるみのおもてなしはここが難しい。
 地域ぐるみのおもてなしで、ひとつのことをやろうとした時、協力するもの、無関心であるもの、妨害しようとするものいろいろいる。どうするか。15分ほど皆で議論してほしい。

【グループディスカッション2】

「地域ぐるみのおもてなしでひとつのことをやろうとした時、どうしたらうまく行くか。」

グループF

 何かしら問題意識があって、集まっている。高いレベルの問題意識を周りに広めれば、手を振るとかあいさつなどできると思う。お金ではなく、説明することでひろがるのでは。
 ex.客が減る→収入が減る→旅館等の減収→地域経済仕入れ等減少→全体の職が減る→人口流出→病院減少→地域住民が困る など。地域のしあわせ度も下がる。となると、観光客に対して優しく接しようとする気持ちを養う研修会などが必要になる。地域住民を巻き込んで行っていくことが必要。

グループA

 理論的な話の他に、ソフト面を押し出して考えた。地域住民が自らの地域に誇りを持ってもらえると、よその人が来た時に勝手に薦めたくなり、ある種おもてなしをしてくれるのではないか。

グループB

 おもてなしは人にやらされたのでは本物ではない。他人におもてなしをすることで自分に還元されることを訴え、知ってもらって、自分がおもてなしをすることのメリットを理解してもらえればいいのでは。長い時間をかけて本気になってもらうことがベター。

グループディスカッションを終えて(清水塾長)

 ポイントを抑えたいい結論だった。
 サービスとおもてなしは何が違うのか。対価をいただけるのがサービス。サービスというのは、予約通りにお客様に泊まっていただき、必要なリネンだとか、そうしたものを整えていくことで宿代をもらっている。そうしたことで完結すれば構わない。愛想というものはしてもしなくても対価は変わらない。対価として存在しないが、おもてなしの議論は組織の中では必ずあるもの。
 地域のおもてなしは行政主導のものが多い。由布院と長野県内を比べれば一目瞭然。由布院は40年間地域ぐるみでやってきた。県内では最近になってやっと商店街をはじめ地域で取り組み始めたところがある。例えば、千曲市は月に一回あらゆる関係者を集めて議論している。商工会議所、農協、NPO法人、旅館ホテル組合会、観光協会、鉄道会社、行政は各部長全員含めて40名程度。参加者全員に必ず話をさせている。ここで参加者が地域でのおもてなしを皆でやろうといって始まればいいのだが、つい行政からの発信になってしまう。するとやらされ感が出てしまう。
 由布院は基本的に行政に頼まない。宿泊客始めあらゆる人に協力を頼む。プロとして、あらゆる人をだれでも取り込もうとしている。
 自分の地域の問題ということをきちんと理解しないといけない。観光客が来ることで儲けるのは、一部の者だけではない。地域全体に波及効果があって、皆が潤うこともあるし、地域全体も元気になる。こうしたことを広めていく必要がある。

○各地域での取り組みの事例

 世田谷区は人口100万人目前。毎年毎年人口が増えている。世田谷区の問題は、痴呆症の老人が3万人、引きこもりの老人が数万人。行政はこの問題に対して、地域見守り隊などを結成したり、保健師を増やすなどして対応しているがそれではなかなか難しく解決しない。そんな時、商店街で楽しいイベントを行ってみた。その際、普段は家から出てこない引きこもりの老人たちが顔を出した。いろいろな人が集まって楽しいイベントを催している。そうすると、普段は引きこもっている老人たちが外に出て来る。これが観光。今では地域ぐるみで痴呆予防を行っている。ただ、地域に愛着がなければこれは不可能。
 越後湯沢ではスキー客の減少に伴い街が衰退したとき、観光関係者と教育委員会の学芸員を集め地域について話し合った。結果、地域の歴史、文化を新たに知ることで愛着が湧き、地域ぐるみでの取り組みができている。
 富良野のラベンダー畑。外国人旅行者が40万人も来ている。なぜラベンダーがここに植えられているのか。そうした歴史を知らずにいた、地域住民、農業関係者、観光事業者等が集まって地域を知るための勉強会がスタートした。
 議論の場というものは非常に大切。当事者が議論の中心となり話すことが大切。観光課長でも、観光協会事務局長でもなく当事者が。

本日のまとめ「理解」と「気づき」、「グループ」と「チーム」の違い(高野塾長)

 いろいろな人のいろいろな視点から物事を見るということは非常に大事。今まで自分の中にはなかった視点をどんどん自分の中に入れていくということ。自分の中にある視点を何もせずに1年間放置すれば増えていかない。今日の清水さんのお話しもまた違った視点からのおもてなしのお話しであった。
 最後に清水さんからいただいたお話しの中で、一つ実践を加えていきたい。決断と行動確認シートで、次回までに、本業の中でもいいので、自分の中でおもてなし、気づきを他の人と共有できた、今日気がついたことを現場でこういう風に活かしたらこういった反応があったとか、実践してみたらこうなったという報告をしていただきたい。
 清水さんのお話しを聞いて、今日理解できたこと。それに対して今日気づいたこと。微妙に違う、理解と気づきの違い。理解と言うのは座学で分かること。学校の勉強と同じ。気づきというのは、自分が体験しない限り存在してこない。人にやさしくしなければいけないということを皆頭では理解している。気づきは人のために何かやった行動から生まれる。全てが自分の体験に繋がっていく気づき。ひとつひとつ自分が前向きにポジティブに捉えていると、自分の中に成長がある。自分の感性が膨らんでいく瞬間も、萎んでいく瞬間も実は同じ瞬間にある。だからどちらに自分の針を持っていくか。その瞬間、瞬間に自分が決めなければ、損だということ。なんでも笑い飛ばしてみるしたたかさを持つ。この概念を海外では「ユーモア」と言っている。ユーモアのセンスとは何か。「にもかかわらず笑う力」のこと。絶対にこの場面では笑えないという場面で笑いを作って行く力。これが海外では人間力の一番ど真ん中にある大事なもの。
 理解するということ、気づくということを自分の中で明確に意識しておく。でないと、自分の中で分かったつもりで終わってしまうことがある。清水さんのお話しにもあったように、個人としても会社としても、家庭としても、その外側にある地域の中で自分が他人事じゃなくて自分事として関わっていかなければならないということは分かる・・・「分かる」で終わってしまったら、理解だけできている段階。本気を出して行動して体験してみると気づきが得られる。これはやってみないことには絶対に分からない。気づきというものは情緒豊かにするもの。気づきというのは、情緒を鍛えていくもの。理解というのは、頭脳を鍛えるもの。情緒豊かな生活をしていく。情緒豊かな人間になり、なおかつ頭脳明晰になっていかなければならない。この両方のバランスを取らないといけない。
 もう一つ、ちゃんとした議論をしていただきたいのが、「グループ対チーム」。これを個人、家庭、職場以外のところでグループからチームに、グループとチームの違いをどういう風に自分が関わることで作って行くことができるか。ディスカッションしていただきたいが、最初はグループとチームの違いを。次に地域社会を捉えた時に、その中で今自分たちの住んでいるところで、自分の関わりも含めてグループが出来上がっているか、あるいはチームが出来上がっているか、まだグループにすらなっていないかを。最後の議論は、なぜできないのかを。

【グループディスカッション3】

 「グループとチームの違いは?地域社会を捉えた時に、その中で今自分たちの住んでいるところで、自分の関わりも含めてグループが出来上がっているか、あるいはチームが出来上がっているか、まだグループにすらなっていないか。できないとすればなぜできないのか。」

(高野塾長)

 グループとチームの違いは、どのグループも理解されているようだ。単純に人が集まっているのがグループであり、目的とビジョン、あるいは哲学が明確に共有されている部分があるかどうか、その違い。だから、野球やサッカーはチームでありグループではない。ここにいる皆さんは長野の10年後、20年後を担っていくという一つの目的を明確に共有されているという点で言えば、グループではない。ディスカッションするときは「グループディスカッション」という言葉があるので、敢えて使うこともあるが、本来であれば「チームディスカッション」である。

(Eチーム 塾生)

 Eチームの今のディスカッションでは、皆で共有できたのが、先月まで開催していた「善光寺御開帳」のこと。開催期間中は商店等が御開帳に向けた参拝客への取り組みに一丸となっていた。長野にいたそれぞれのグループが、善光寺御開帳を機にチームになっていた。
 自然発生的にしろ、作為的にしろ、何か一つの目的があることによって、目指すことによってグループはチームになれるという結論となった。

(高野塾長)

 御開帳が終了した。次の御開帳まで7年。この7年間を、この御開帳時に生まれたチームという感覚を持ち続けながら長野で地域を作っていくことは可能か、不可能か。
 また次回以降の議論の材料としたい。
 御開帳時にこれだけ長野が盛り上がって、終わった瞬間に全てが終わってしまうのは大変残念なこと。ここにいる40人が核となってアイディアを根付かせていくことは不可能なことではない。ここにいる40人がバラバラなことをやるのではなく、40人が同じような価値観を共有して各地域で活動したら面白いことかもしれない。長野の中での「祭り」がこれからのキーワードになる。善光寺の御開帳や諏訪大社の御柱、そしてそれぞれの地域の小さなお祭りも含めて。そうしたお祭りを一つのきっかけとしておもてなしについて考えてみる。他人事ではなく自分たちのこととして捉える。