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長野県は、地域の「おもてなし」向上のリーダーを育成するために「信州おもてなし未来塾」を開講しています。その塾長に就任されている、元ザ・リッツ・カールトン日本支社長で、人とホスピタリティ研究所所長の高野登さんから メッセージをいただきました。

高野登氏写真

「おもてなし」とは相手の心に自分の心を寄り添えること

人とホスピタリティ研究所 高野 登

「おもてなし(ホスピタリティ)」は、観光に携わる人たちだけのものと思われがちですが、そうではありません。「おもてなし」の語源は、聖徳太子の「和を以って尊しと為す」までさかのぼると言われます。すなわち、「何を以って何を為す」のかを常に心に思い描くということです。たとえば、相手に心を添えることを「以って」、その人にとって忘れ得ぬ物語を紡ぎだすことを「為す」。接客業に限らず、製造業、通信業、林業、福祉や介護サービス、どんな仕事の人でも、その先にいるお客様を思いやる気持ちを持って仕事をすれば、すべてが「おもてなし」につながるのです。

「おもてなし」は一方的に提供する「サービス」のことではありません。同じ目線に立ち、相手の気持ちになって行う誠意ある対応のことです。そうして、温かな人間性が触れ合った瞬間に「感動」が生まれるのです。つまり「おもてなし」とは、相手に自分の心を寄り添えて対話をする姿勢そのものなのです。心は相手に見えなくても、心遣いや心がけ、心構えはちゃんと伝わります。

長野県は、日本一の長寿県です。人生の達人であるおじいちゃん、おばあちゃんしか知らない、信州のおもてなしの知恵もたくさんあるでしょう。
大切なのは、自ら一歩を踏み出して行動を起こすこと。自分にできる小さなことから始めてみるのです。挨拶やひと言の声掛けは特に大事なことです。今までよりも少しだけ意識して気を働かせるだけで、たくさんの物語が生まれることに気付き、わくわくしてきます。

「おもてなし」の心をかたちにするカギは人間力です。信州人は言葉が少なく、自己表現は苦手かもしれません。しかし人に対する優しさや慈しみの気持ちは、どこにも負けないものがあります。この人間力をもう一度掘り起こして磨き上げ、信州人らしい「おもてなし」を作っていきませんか。